考えすぎる性格と多忙な仕事による不眠が漢方で改善【50代男性】

考えすぎる性格と多忙な仕事による不眠が漢方で改善【50代男性】

お悩みの内容(主訴)

数年前から独立してサービス業を始めた。仕事は順調だが、日によっては多忙により休憩時間をとることが出来ず、また、肉体労働でもあるためとても疲れる日々が続いた。もともと「お願いされると弱いタイプ」で、お客様にお願いされると時間外営業をすることもあった。気が付けば、疲れているにもかかわらず寝付けない日が増え、寝ても睡眠が浅く夜中に何度も目が覚めてしまうようになった。筋トレによる筋肥大にハマっていて、比較的【元気なタイプ】だと思うが、悩み癖や考えすぎによる不眠が増えるようになった。

筋トレをするのが趣味で、仕事終了後、そこからジムに行き筋トレをし、帰宅後に夕食をとってすぐに寝るというのがルーティンになっている。しかし、最近では、ベッドに入っても胃もたれを感じて苦しくなる。仕事が順調な事はとても嬉しいが、考え事をしていると寝つけず、最近では睡眠への不安がより強くなり、鬱なのではないかと心配になってきた。漢方には以前から興味があったので、予約をしてみた。


主訴以外の症状

特にない(体調は良い)


改善案

今回のケースは不眠の原因として考えられる要素が2つ挙げられます。それは【夜の過ごし方】と【多忙によるメンタル不調】です。

【夜の過ごし方】
トレーニングをすると体が交感神経優位の状態になります。交感神経が優位になると、胃の動きが悪くなるため、トレーニング直後にしっかりとした夕食を摂ったことで、吐き気や胃もたれなど胃の不調からくる不眠(胃気不和)が起きたと考えました。特にこのお客様は筋肥大を目的としたトレーニングをしていたため、食事のボリュームも多く、胃にさらなる負担をかけていました。

【感情のトラブル】
漢方では精神状態も不眠の原因になると考えます。その感情とは【怒】【憂】【思】【悲】です。このお客様は昔から【悩み事があると深く考えてしまう癖】があるようで、【仕事がうまくいっているのは嬉しいが肉体的にはとても辛い。しかし、仕事量を減らすとお客様に迷惑がかかる】という悩みを憂い・思いすぎていました。漢方では五臓の一つである脾が弱い人は、【憂】【思】の感情が起こりやすくなると考えます。一見すると体格が良く元気なこの男性も実は体質的に脾が弱い人でした。

このように一見すると体の不調がない人でも、性格や夜の過ごし方で不眠になってしまう事があります。適切な漢方薬を服用すると同時に仕事の悩みを共有したり、生活習慣を一緒に考え、心の負担を軽くしていく事が大切になります。


経過・予後

漢方薬は胃腸の働きを良くしながら精神的な不安を取り除く漢方薬と興奮を鎮める漢方薬の2種類を就寝前のみ服用でご提案しました。また、トレーニングの時間帯と夕食の時間帯の変更をご提案させていただきました。睡眠を第一に考えるのであれば、就寝直前の筋トレや過度な夕食は控えてほしい、と伝えたのですが、仕事終わりの筋トレは楽しみの一つなので現時点では止めたくない、との事。最初の2週間はとりあえず夕食を軽くする事からスタートしました。

2週間後
前よりも夜中に起きる回数は減ったので漢方が効いていると感じる。ただ、ベッドに入っても眼が覚めて脳がグルグルと動いている感じする。横になるのが苦しい。とのことでした。バルクアップのためにはどうしても食事量は減らせないという事でしたが、良い睡眠のためには胃の負担を軽くすることが大切と説得し、食の量を半分に減らす事に加えて、消化を助ける漢方薬を併用していただきました。

4週間後
夜中に起きる事はなくなり、朝起きるとスッキリしている。ただどうしても寝つきはまだ良くない。仕事を今まで通り忙しくするのが良いのか、それとも少しお客様の数を減らすべきなのか悩んでしまう、との事。そこで、私も25歳から自営をしていて30歳の時にあまりに忙しくて体調を崩した経験があったので、その経験をお話させていただきました。また、就寝前の筋トレは心身を覚醒させ【眠らない状態】にしてしまう事を伝え、早寝早起きのリズムで仕事前にジムで筋トレをすることを提案しました。

8週間後
寝つきも良くなり、起床時もスッキリしている。胃もたれがなくなり、体の軽さを感じ、気分も良くなっている。朝食の食欲も沸いてきた。仕事量は変えていないが、朝のトレーニングに切り替えたことがとても良かった。漢方は寝る前だけの服用なので、これからも継続したい、とのことで現在も同じ漢方薬を継続しています。

タカオ先生のコメント

不眠の原因は決して単一ではありません。仕事や生活習慣からくる不眠と、性格など心の問題からくる不眠が重なると「漢方薬だけ飲めば改善」とはいかない場合も多々あります。そういう場合、お客様の悩みや心配事を一緒になって考える事も大切な改善方法です。【漢方を飲んでいるけど改善しない】という時ほど、心内をお話していただけるとより効果的に不眠を改善することもできるでしょう。

タカオ先生のコメント

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