お悩みの内容(主訴)
秋になったある日、職場での意見の食い違いから強いストレスを感じた。いつもであればイライラするところが、その時はなぜか全身の力が抜けるような感覚があり、動悸や不安を感じてしまった。
翌日、起床はできたが仕事に行くことが頭によぎると、体が動かくなり着替えることが出来なかった。そのまま、その日は仕事を休んだが、それ以降、毎朝同じような症状が出たため職場と相談し、休職することにした。
時間ができたことで心に余裕ができると思っていたが、自分が休職したことで迷惑をかけているのではと思うと不安を感じるようになった。食欲も低下してしまい、家族からも休職してからむしろ痩せて元気がなくなっているような気がする、と言われてしまった。
早く復職したいが睡眠障害と食欲低下で意欲が湧かずどうすることもできない。藁をもすがる思いで漢方に頼りたいと思って来店した。
主訴以外の症状
・食欲不振 ・疲労倦怠感 ・考えすぎてしまう ・泥状便 ・声が小さい ・忘れっぽい
改善案
今回のケース、休職のきっかけは強いストレスですが、その後、心脾両虚の状態になったと考えました。
我々は食べたものから気血を生成しています。食欲不振・泥状便など脾の弱りが起ると気血が低下してしまい、五臓を養うこともできなくなります。特に五臓の一つ【心】は精神活動や血流をコントロールする大切な臓であるため、【心】が低下したことで、不眠、不安、動悸、顔色が悪い、物忘れなどの症状がみられました。
まずは心脾顆粒(心脾を丈夫にする漢方薬)をベースに逍遥顆粒(ストレスを緩和しつつ胃腸の働きを改善する漢方薬)を提案させていただきました。疲れが酷い時に限り、参茸補血丸を追加で服用していただきました。
食事は消化の良いものを中心に、お肉・お魚も欠かさず食べていただきました。これは血肉有情と言い、気血を増やすためには野菜よりも肉魚の方が効果的だからです。調理法は揚げたりせずに、軽く焼くか茹でる、煮るで食べていただきました。
経過・予後
2週間後、明るい表情で来店され、かなり元気が出てきた!とおっしゃっていただけました。入眠は問題ないし、夢を見る回数も減った、また、夢を見ても覚えていない、との事でした。私も想像以上に早い改善にビックリしました。
現在は、『漢方を服用して本当に元気になった。このまま継続したい。』とのことで、同じ処方を継続しています。パーソナルジムにも週二回、通うようになり『この前の筋トレはハードでしんどかったー』と笑顔で話されています。
復職も決まり、とても前向きな生活を歩めている、とのことです。
日々の生活の中で【心労】が重なることは多々あります。心労は気血を消耗するため、不眠に限らず鬱や疲労感が強くなる傾向があります。気配りが辛い、気力が沸かない、気丈に振舞えない、気持ちが弱い…、そんな気の不足を感じたら、早めに対策を打つことが大切です。