お悩みの内容(主訴)
若い時と比べると夜勤の疲れが抜けにくくなっていた。夜勤明けは倦怠感が強いにも関わらず頭は冴えてしまい、熟睡することはできなかった。眼が覚めてもずっと覚醒しているような感覚があり、自分が心の底からリラックスするような睡眠をとれていないと感じていた。表情が乏しくなっていることも自覚し始め、家族からも「疲れたの?」と言われることが増えていた。この頃から人と話すのが億劫になっていた気がする。
夏休み、中学生の息子がお友達とトラブルを起こしてしまった。些細な事がきっかけではあったが互いの両親を交えた話し合いなどがあり、パニックにも似たような焦りと、とてつもない疲労感に襲われた。
同じ時期に、母の介護サービスの手続きなどがあり神経を使う日々が多くなった。
気が付くといつも不安な気持ちがあり、胸の中がザワザワとする感覚、ベッドに入っても思考が止まらず頭がグルグルとしてしまい、不眠を感じるようになっていた。ホームページに自分と似たような症状が漢方で改善した人のブログがあり、試したいと思って来店した。
主訴以外の症状
・鈍い頭痛 ・物をずっと見ていると目が痛くなる ・眼精疲労 ・立ち眩み ・息苦しくなる ・夢をよく見る ・疲れやすい ・食欲がない ・泥状便 ・痰が絡む ・冷え性
改善案
今回のケースは漢方における心脾の虚弱状態と肝の疏泄機能の低下が考えられました。心は「神を主る」と考えられ、精神活動の中枢を担っています。
心の気が不足すると呼吸も弱くなり声が小さく話すのも億劫になる傾向があり、心の血が不足すると不眠・多夢・めまい・物忘れ(ボーっとする)などの症状が目立つようになります。仕事・家事など日頃のハードワークに心が消耗していたところに身内のトラブルが相次ぎ心労が重なったことで心の不調が強く出たと感じました。
また、夜勤は生活リズムが不安定になります。そのため、自律神経のバランスが乱れてしまい、睡眠の質も低下してしまいます。先ほどの心労の中で、不安定な睡眠が重なり自律神経の乱れを助長したと考えました。
そのため、脾(食べ物から気血を生成する臓)の働きを良くしつつ、心の働きを良くする漢方薬と、肝(精神情緒や自律神経などに関わる臓)の働きを良くする漢方薬を併用していただきました。
改善するまで、以下の点の生活養生も取り入れていただきました。
・夜勤は一旦中止する。
・朝食は温かい消化の良い食事を心がけ、夕食は腹7分目程度にする。
・散歩はしても良いが30分まで。疲れすぎる運動は控える。
経過・予後
服用開始2週間後、改善は見られない。漠然とした不安もまだある。改善点はほぼないに等しい。夜勤は継続。
服用開始4週間後、夢は見なくなった・美味しく食事をとれるようになった。前よりは元気になってきた気がする。鈍い頭痛もいまのところ無くなっている。しかし、寝つきは相変わらず悪く、すっきりとした感じはない。夜勤はなかなか辞められない。
服用開始20週後、年末の帰省を利用して、再来店。生活リズムはずっと良くなり、朝活を利用してジムに通うようになってから体重を6キロ落とすことに成功した。羚羊角製剤を服用すると翌朝のすっきり感があり、また勉強中の頭が煮詰まる感じも楽になる。変に緊張することもなく、7月の時の自分がまるで他人のように感じるようになった。
服用開始8週間後、比較的入眠しやすくなって、ベッドに入るのが怖くなくなってきた。前よりもっと元気になってきた気がする。意識してしっかり食べるようにしたのも良いのかもしれない。立ち眩みも今はない。夜勤の疲労感は未だにあるが、前のような気力が全くなく何もしたくない感じはない(→ここで頑張りすぎない事。手を抜く生活を意識することをお伝えしました)。
服用開始16週間後。始めて来店した時に比べたら精神状態も良く、眠りの質も良くなったと感じている。夜勤は給料の事を考えるとどうしても辞められない。20代30代の自分と比べないようにしよう、と考えられるようになっただけ心に余裕ができてきたのだと思う。状態は良いので、眠前だけの服用にして予算を少し抑えて継続していきたい。
以後、月1のカウンセリングを継続中。
生活リズムが不安定な人は概日リズムが崩れてしまいます。そのため、ホルモンや体温などが安定せず、いわゆる自律神経失調症のリスクが高まります。そんな中で過度な心労が加わったことが今回の不調の原因と言えます。本来であれば生活リズムを安定させることが一番望ましいのですが、どうしても夜勤を辞める事はできないとのことで少しお互いに妥協しながらのカウンセリングが続きました。そんな中でお客様が前向きに漢方と付き合って体調管理されている良い例だと思います。