過度のストレスによる頭痛と不眠が漢方で改善【60代男性】

過度のストレスによる頭痛と不眠が漢方で改善【60代男性】

お悩みの内容(主訴)

会社での昇進後、過度なストレスによる頭痛と不眠に悩むようになった。不眠に関しては、一睡もできない日もあり、かといって寝なくても日中に眠くなることもなかった。常に頭が覚醒しているような感覚があった。頭痛・不眠と並行して、仕事中、部下の些細なミスに対し激怒することが増えてきた。激怒した後にオフィスを見渡すと自分を軽蔑のまなざしで見ている社員に気が付き、自己嫌悪に悩まされるようになった。激怒しないように気をつけようとしても、沸点が低くすぐに激怒してしまう。帰宅後もどこかイライラが納まらず、妻からは『顔が怖い』と言われるようになってしまった。

日頃からジムに通い、サプリなども服用して人並み以上に健康には気を使ってきていたにも関わらず、心も体も崩れていくような感覚に襲われるようになった。精神科の病院に行く事も検討したが、いきなり病院に行く事や化学薬品にネガティブなイメージがあったため、漢方薬を試してみたいと思いドラッグストアで購入してみた。しかし改善の兆しがないため、一度漢方の専門家に相談しようと思い天明堂薬局の漢方相談を予約した。


主訴以外の症状

・眼精疲労 ・ソワソワする ・顔面紅潮 ・目が充血する ・アルコール ・食べ過ぎると吐き気


改善案

今回のケースは漢方的に肝火上炎(かんかじょうえん)が考えられました。五臓の中の一つ「肝」には疏泄機能と呼ばれる働きがあります。これは現代でいう自律神経を整える働きに近いものがあり、情緒のコントロールなどにも関わります。

肝は過度なストレスに弱い臓であり、また肝が失調を起こすと表れやすい感情は「怒」になります。おそらくこの男性は昇進に伴い過度なストレスを抱える毎日を過ごされ、それにより肝の働きが失調し自律神経が乱れてしまったのでしょう。肝の働きが乱れると気(エネルギー)の巡りは停滞します。気は陽の特徴があるため、停滞した気は上昇していきます。それによって頭部に過度な気が溜まって脳が興奮状態になり不眠を起こしてしまいました。「表情が怖い」「キレやすい」「大声を出す」これらも気が上昇傾向にある特徴と言えます。

今回のケースでは心肝の火を冷ましつつ、気の巡りを良くする漢方薬と、昂った気を降ろす漢方薬の併用をご提案させていただきました。また、アルコールは原則禁止、どうしても飲みたい場合は土曜日の夜に限る事とさせていただきました。アルコールは睡眠の質を悪くする性質があるため、脳の疲労が取れにくくなってしまいます。ストレスを減らすためにも脳の疲労を回復させることはとても重要です。

また、香辛料は一切禁止。夕食に限っては揚げ物も禁止とさせていただきました。逆に夕食は煮物など消化の良い食事を中心に腹7分目に留めてもらいました。就寝前には運動はせず、ゆっくりとストレッチをするか足つぼマッサージをするようにしました。これは就寝前に頭部に溜まった気を降ろすのが目的です。


経過・予後

1週間後、ご来店の際には「全く眠れない。効果がない。意味があるのか?」と少しお怒りでした。しかし、詳しくお客様の体調をご説明させていただき納得していただきました。さらに食事内容を確認すると実は毎日ビール・焼酎・ウィスキーのロックを飲んでいたので、その点も改善のためには避けていただきたいと改めて共有させていただきました。

3週間後、ご来店の時から明らかに様子が変わっていました。威圧的な態度がなくなり歩き方まで変わった印象でした。お話を聞くと、「前よりも入眠に時間がかからなくなり、一度眠れば5時間は眠れるようになった」とのことでした。これだけでもかなり満足している様子でしたが、理想的な睡眠のお話をさせていただき、質の良い7時間睡眠を目標にしました。

8週間後、毎日約7時間の睡眠を確保できるようになり、会社で怒鳴る事が全くなくなったそうです。後日談ですが、その後、奥様がご来店されて「主人の顔色も顔つきも性格もかなり変わった(良くなった)。どんな薬を飲んだのか?」と心配されて来店されました。奥様にご主人様の体調と漢方の意図、食養生をご紹介させていただいたところ、漢方に大変興味を持ってくださり、その後はご夫婦で健康維持に漢方薬を服用してくださっています。

タカオ先生のコメント

ストレス社会と言われる現代。ストレスの発散方法がアルコールや食事となっている人は、ストレスをうまく発散できず、怒りが長期化することで肝の失調を招き不眠になる事も珍しくありません。肝の失調は不眠以外にもキレやすいなど人間関係にも大きく影響する症状があるため、キレやすい・短気・威圧的な態度などが目立つ場合には早めに改善すると良いでしょう。

タカオ先生のコメント

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