介護による疲れ、不眠が漢方で改善【70代女性】

介護による疲れ、不眠が漢方で改善【70代女性】

お悩みの内容(主訴)

数年前から不眠症になり、病院で眠剤(非ベンゾジアゼピン系)を処方されているが、あまり効果を感じない。

さらに今年から親の介護のために隣県まで車で出向き、週の半分を実家で、半分を自宅で過ごしている。疲れも感じるようになってきた矢先、運転中に一瞬、意識が遠のくような感覚があった。信号待ちだったから良かったが、これが運転中であったらと思うとゾッとしてしまった。

夜になるとなかなか寝付けないのに、昼間は油断するとスッと意識がなくなってしまうのが一番の悩みとなっている。疲労と不眠が同時に改善できたらと思い漢方を試したいと思った。


主訴以外の症状

・不安感 ・眼精疲労 ・頭重感 ・頭痛 ・首肩コリ ・軟便 ・冷え(冬はしもやけ) ・静脈瘤


改善案

今回のケースは心脾両虚をベースに瘀血が併発していると考えました。

脾は「気血生化の源」と言われ、食べたものから気(エネルギー)と血(栄養)を生み出す重要な臓です。脾が弱っているために十分な気血が生成できず、強い疲労感に襲われます。また、五臓の一つ「心」を正常に動かすための気血も不足しているため、血液の循環・安定した精神活動が行われず、頭痛や冷え、首肩コリ、静脈瘤、不眠、不安が発生しています。そこに輪をかけているのが血行不良を意味する瘀血です。

血は全身を巡りながら酸素や栄養を運搬していますが、瘀血になることで酸素や栄養が効率よく運搬されなくなります。結果的に脳が酸欠のような状態になると意識を失うような眠気に襲われることがあります。

漢方は脾の働きをよくしつつ心を養う心脾顆粒と瘀血を改善する冠元顆粒を服用していただきました。

肉・魚・卵は血を増やすうえでとても重要です。胃腸が弱いことも考慮して調理方法は茹でるか軽く焼く程度にしていただき、消化を助けるために大根おろしを食べていただきました。


経過・予後

2週間後のカウンセリングで表情が明るくなり、前よりも入眠に時間がかからないような気がする、とのことでした。頭痛や肩こりはだいぶ楽になってきているので、血流の改善が体感としてあるようでした。

4週間後のカウンセリングでは、途中で起きてしまうことがほぼなくなり、起床時の気分も良くなっているとのことでした。「こんなスッキリ目が覚めて、すぐに行動できるとは思わなかった」とおっしゃっていただけたのが印象深かったです。疲労感も楽になり、日中に寝落ちしてしまうことはここしばらく起きなかったそうです。

12週間後のカウンセリングで、眠りに関する不安や不調は全くなくなったとのことでした。ただ体力的な低下は感じるので、心脾顆粒から人参を中心とした漢方薬に変更しました。

それ以降は睡眠の不調・心の不調はみられないものの、介護をするうえで体力の心配があるため漢方薬は同じものを継続しています。

タカオ先生のコメント

加齢や介護など重なると不眠傾向が強くなる場合があります。特に70歳を超えると臓の働きは軒並み低下していくため、体質に応じて正常な臓の働きをサポートする漢方は必要になってきます。人生100年時代、万全な心と体で過ごせる人はほぼ皆無です。自分の弱いところを漢方で補いつつ生活することが重要であると感じます。

タカオ先生のコメント

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