空の巣症候群から起きた不眠が漢方で改善【50代女性】

空の巣症候群から起きた不眠が漢方で改善

お悩みの内容(主訴)

一人息子の大学進学に伴い4月中旬から虚しさと脱力感を感じるようになり、5月中旬あたりからは入眠が上手くいかなくなり、5月末には一睡もできない日があった。仕事中も頭がボーっとしてミスが増えるようになった。眠れず過ごすことがストレスや焦りとなり、ますます眠れない負のループになっていた。

もともと主人は出張が多いため、1週間ほど独りで過ごすことも多かった。自分だけの家事ではやる気も起きず、食事も「パンだけ」「スープだけ」など質素な日も増えていった。気が付けば時間の感覚もなくなり、「どうせ眠れないのだから…」と夜中までドラマを見る事が増えてしまった。家に独りでいると寂しくなり、子供の事を思い出すと涙が出てくる日もあった。この頃から不眠以外にも自分の精神がおかしくなっていると感じるようになっていた。

会社の同僚に病院での治療を勧められたが、睡眠薬や抗不安薬には抵抗があった。そこで様々な改善策をホームページで検索している中で漢方による治療に興味をもち天明堂薬局で相談をすることにした。


主訴以外の症状

・夢が多い ・眠りが浅い感じがする ・食欲が低下 ・休日は外に出たくない ・不安感 ・立ち眩み ・眩暈 ・物忘れ ・顔色が優れない


改善案

今回のケースは漢方的に心脾両虚(しんぴりょうきょ)が考えられました。五臓の中の一つ「脾」は「気血生化の源」と呼ばれ、心や体を正常に働かせるための気と血を生む重要な臓です。脾は考え過ぎや憂い、心配事があると働きが悪くなる臓です。今回は息子さんの一人立ちに伴い様々な事を考え、憂い、心配したことで脾の働きが低下してしまったのでしょう。脾の低下により気血の生成が少なくなると五臓の中の一つ「心」を正常に働かせることが出来なくなります。「心」は「神を主る」と考えられ精神活動の基本となる臓です。そのため心が不安定になると不安・不眠を引き起こします。この原因は男性よりも女性に多いことが特徴です。なぜなら女性は月経や出産など出血する機会が多いからです。またダイエット志向により、食事量が不十分になると気血を補う事ができなくなります。

今回のケースでは脾を丈夫にして心を養う漢方薬を中心にお勧めしました。食事は温かく消化の良い食事を中心に朝・昼はしっかりと食べていただき、夜は腹7分目くらいにしていただきました。また、就寝前はホットミルクを飲みながら、テレビやスマホではなく読書をしていただきました。


経過・予後

漢方服用後4週間で不安感や焦燥感がずいぶんと楽になり、眠れる日も増えてきました。しかし、倦怠感や不安感は少しあり日中元気に過ごせていると言えるほどではない、とのことでした。症状の改善の兆しがみられているので、同じ漢方薬をさらに4週間続けてみました。

漢方薬開始から2か月後あたりから、定時就寝定時起床ができるようになり、以前のような漠然とした不安感もなくなりました。体調が良いため漢方薬を飲み忘れる事も増えてきた、という事なので1日3回の服用から1日1回の服用にして様子を見る事にしました。

その後、体調が良く不眠も改善されたと報告がありました。お客様の方から体調管理のためにも1日1回の服用は継続したい、定期的に来店して健康の話を聞きたいとのことで、それ以降は1日1回の服用を継続しています。

タカオ先生のコメント

急な環境の変化は思いがけないメンタルストレスを与えます。今回のように「食欲の低下」「倦怠感」「不安」は思い悩みによる脾の低下が原因となっていることが多いです。漢方薬で脾を立て直しつつも気血を増やしていくと体も心も元気になり不眠も改善していくでしょう。

タカオ先生のコメント

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