試験のストレスと生活リズムの乱れによる不眠が漢方で改善【10代女性】

試験のストレスと生活リズムの乱れによる不眠が漢方で改善【10代女性】

お悩みの内容(主訴)

春から大学生になり、東京での一人暮らしが始まった。当初は初めての東京生活を楽しんでいたが、7月に入り試験期間になると緊張とストレスで眠れない日が増えてきた。1日のリズムは崩れ、気が付けば昼夜関係ない生活をするようになっていた。

8月に入ると自律神経の乱れを実感するようになり、日中は集中力の低下・眠気・倦怠感に襲われ、夜は眠れず、気持ちは高揚し、落ち着きのない感覚に襲われ夜の街に繰り出すこともしばしばあった。以前は好きだった和食が苦手になり、ファストフードやお菓子が食事代わりとなっていた。体重は東京生活が始まってたったの4か月で6キロも増えてしまっていた。

夏の帰省で両親から『太った。顔色も良くない。何か辛い事でもあったの?』と驚かれ、現状の生活について正直に話した。東京での一人暮らしを中止して実家から通うことを親は検討したが、せっかくの東京一人暮らしを止めたくはなかった。両親と話し合い、帰省中に生活のリズムを取り戻すことを目的に、母が以前通っていた漢方を試すことにした。


主訴以外の症状

・頭痛 ・生理痛 ・肩こり ・胃部不快感 ・便通が安定しない ・吐き気や嘔吐 ・眩暈


改善案

今回のケースは胆鬱痰擾が考えられました。様々なストレスは気鬱、つまり緊張状態をもたらします。緊張状態が続くと水分代謝は悪くなり痰を発生させ、また体の中に熱をこもらせてしまいます。
痰と熱が合わさると痰熱となり、これが胆や胃の機能を失調させます。胆が乱れると煩躁(落ち着きがない)や驚きやすい(ビクビク)、不眠、眩暈などの原因になります。

また、胃の機能が失調すると胃気が上逆し、吐き気やため息、嘔吐などを起こしやすくなります。
さらにファストフードやお菓子などは痰湿を作りやすい食事のため、ストレスと合わさって胆鬱痰擾をさらに悪化させたと考えられます。

人は睡眠不足を起こすと食欲を増進させるグレリンの分泌が亢進し、満腹中枢を刺激するレプチンの分泌量が下がります。短期間での体重増加は睡眠不足によるものと考えられます。また睡眠不足の状態では味のはっきりしたもの(甘い・しょっぱいなど)を好みやすくなります。そのため、和食のような繊細な味付けを敬遠するようになったことも体重増加の一因と考えました。

今回のケースでは胆の痰熱を取り除きながら胃を改善する漢方薬をベースに、就寝前は羚羊角製剤を服用していただきました。
生活リズムを安定させる生活養生として、

・6時に起床時し朝食前に30分間の散歩をする
・朝食は温かい食事をする(可能であれば和食)
・午前中から15時くらいを目安にアルバイトをする(日中に行動する)
・19時に夕食
・22時就寝(可能であれば就寝前90分前に入浴を済ませる)

という形をお願いしました。
また、夕食は軽めで消化の良い内容(揚げ物はなし)をお願いいたしました。


経過・予後

服用開始2週間、生活リズムは両親の協力もあり戻りつつあるがまだ、朝寝坊をしてしまう。お腹の不快感が楽になり、吐き気、嘔吐は無くなり、大便が形を成すようになった。起床時にすっきり感がかなり増えてきた。

服用開始6週間、生活リズムは安定し、生活養生の通りに生活できるようになった。生理前に頭痛やイライラを感じる事はあるが、痛み止めを飲むほどではない。両親と話し合い、東京での一人暮らしに戻ることを決めた。体調が良いので予算の面でも今後は寝る前だけ羚羊角製剤を継続して服用することにした。

服用開始20週後、年末の帰省を利用して、再来店。生活リズムはずっと良くなり、朝活を利用してジムに通うようになってから体重を6キロ落とすことに成功した。羚羊角製剤を服用すると翌朝のすっきり感があり、また勉強中の頭が煮詰まる感じも楽になる。変に緊張することもなく、7月の時の自分がまるで他人のように感じるようになった。

タカオ先生のコメント

学生は大人以上にスケジュールが窮屈で、ストレスを感じやすい環境にいる場合があります。慣れない環境や試験、人間関係などからくるストレスなども加わり、7月8月は不眠に陥るケースも多々あります。若いゆえに少々の不眠でも遊びに行ける体力があるため、眠りに無頓着になり、その結果、自分では修正できないほどの不眠や不調を引き起こす場合もあります。ストレス過多の環境だからこそ、心身を休める睡眠時間を軽視しないことが重要です。太陽と共に行動し、月と共に休息する。そんな人間が本来持っているリズムを崩さないように気をつけましょう。

タカオ先生のコメント

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