不眠の人ほど朝活をしたほうが良い理由

不眠の人ほど朝活をしたほうが良い理由

4時50分に起床し、5時50分にジムへ。
6時から7時まで筋トレを行い、帰路にある公園に立ち寄り朝日を浴びながら散歩を15分。
7時30分に帰宅してシャワーを浴び、朝食を食べて9時から仕事を開始する。
18時に仕事を終えると夕食を軽くとり、入浴をして、21時30分には寝室に行き、22時前には就寝、
7時間の睡眠の後、また4時50分に起床しジムへ…。

これは私の1日のタイムスケジュールです。
このタイムスケジュールを漢方相談時に話すと「先生はストイックだからできる」「そんな早寝は普通出来ないよ」と言われてしまいます。
しかし、睡眠時間は7時間確保しているし、21時30分になれば自然と眠気に襲われるため、無理をして早寝をしているわけでもありません。
自然な眠気、自然な目覚めをただ毎日繰り返しています。

実はこのタイムスケジュールこそが、西洋医学的にも漢方医学的にもベストと言えます。

概日リズムを整える朝活

朝活と睡眠の関連性を語るうえでキーワードになるのがセロトニンです。セロトニンは朝日を浴びたり、軽く運動したり、タンパク質を摂るとより分泌されやすくなります。セロトニンは心の安静を保ち幸福感を感じたりするため、別名「幸福ホルモン」とも呼ばれています。ストレス社会においてセロトニンは喜びなどのポジティブな感情と怒りや恐怖などネガティブな感情のバランスを整える重要な物質であるため、セロトニンが不足している人はうつ病や過食、慢性疲労などの症状を起こしやすくなります。

そんな日中の健全なメンタルを支えるセロトニンですが、良好な睡眠を得るうえでも重要な物質です。なぜなら日中に分泌されたセロトニンは夜になるとメラトニンへと変換されるからです。メラトニンは吸血鬼ホルモンとも呼ばれ、心身をリラックスモードにすることで、自然な眠りを促す働きをしています。セロトニンがメラトニンへと変換されるのは15~16時間後であるため、5時に起床し、16時間後の21時を過ぎたころには自然と眠気が出てくるのはごく自然な事です。

注意すべきは寝る前や夜間にブルーライトを浴びると、メラトニンの分泌が抑制される点です。 メラトニンが抑制されると、脳が昼間だと勘違いしてしまい、入眠困難を起こし、また睡眠の質も悪くしてしまいます。寝室にスマホを持ち込まないことは良い睡眠のための鉄則とも言えます。

このように、不眠は夜の問題と思われがちですが、実は良い睡眠の準備は朝から始まっています。不眠を改善するためにも朝活を取り入れ、疲れない程度に散歩や筋トレを行うようにすると良いでしょう。

漢方の観点からも朝活は重要

朝活が睡眠に良い影響を与える事は漢方の観点からも説明できます。
漢方には陰陽学説と言うものがあります。これは「この世のものは全て陰と陽に分けられる」という考え方です。

具体例を挙げると
陽→太陽 明るい 日中 温かい 上昇 軽い 動 外向き 火 春夏 男
陰→月  暗い  夜間 冷たい 下降 重い 静 内向き 水 秋冬 女
となります。

つまり、日中は陽の時間帯であり、明るい場所で心身を活動させる事が大切であり、夜は陰の時間であり、暗い場所で静止し心身を休息させる事が大切です。1日は陰と陽が流動的に変化していくため、「太陽と共に活動し、月と共に休む」というリズムが理想的となります。

その点で考えると、太陽が出ているにもかかわらず暗い部屋で寝ていることは、陽の時間に陰の状態でいる事です。また、夜なのに明るい部屋で運動をすることは、陰の時間に陽の状態でいる事になります。これすなわち陰陽の乱れであり、現代でいうところの自律神経の乱れを引き起こすと考えます。

朝活は太陽が昇り始めた時間帯に明るい場所で動くため、心身を陽の状態にします。これは先ほどの朝活をするとセロトニンが分泌されるという事にとても近い意味です。また、夜に陽の状態は良くないということも、メラトニンが光を感じると分泌されにくくなる事と似ています。

このように陰陽学の観点から考えても、1日の陰陽のバランスをとるためには朝は活動することが良いと言えるでしょう。

理想的な朝活は十人十色

理想的な朝活には運動、読書、座禅、散歩、モーニングを食べに行く、整理整頓、掃除などが挙げられています。私が朝活で大切だと思うのは「やりやすい事をする」「疲れない程度にする」「日によってメニューを変える」です。

朝活をすることで疲れが溜まり、日中に疲労困憊してしまっては意味がないですし、難しいことやろうとして挫折するのも良くありません。またマンネリ化して「楽しくない」と感じるのも避けたいところです。自分の体力や興味などを考慮して型にはまらず朝活をしましょう。

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