皆さんは「夕食が原因で不眠になる」なんて聞くとどう思いますか?
「そんなことあるの!?」と驚かれる方も多いかもしれません。
しかし、漢方的・薬膳的に考えると不眠を起こしやすいメニューというものは存在します。
今回は不眠を起こしやすくなるメニューとその理由についてご紹介いたします。
漢方や中医学における「陰陽学説」という考え方があります。
これはこの世のものは全て陰と陽の特徴を持つという考え方です。
例えば
と言った具合です。
陰陽学説で考えると、「眠る」という行為は「月夜に、暗く静かな部屋で、横になる」ですから、「陰」に属すると考えられます。ほとんどの人は「明るい部屋で、騒がしい音楽をかけて、立ちながら」という条件では眠れないはずです。つまり、良い睡眠とは心も体も環境も「陰」の状態が望ましいと言えます。
夕食のメニューとして人気が高いカレーライス。しかし、良い睡眠を望む人にとっては少し注意が必要です。なぜならカレーライスは香辛料をたっぷり使った「陽」の特徴があるメニューだからです。また食べやすさから食が進みカロリーも多くとりがちです。カロリーは日本語で「熱量」と表記されるように、漢方的にカロリーの摂りすぎは体内に過剰な熱をこもらせる傾向があります。カレーライスに限らず、香辛料の効いたカロリー高めな料理は「陽」の特徴があるため、心も体も興奮状態にさせます。
分かりやすい例として、テレビ番組などでタレントさんが激辛料理を食べた時のリアクションが挙げられます。激辛料理を食べた人は顔を赤らめて大量の汗をかきながら大声で『辛い―!!!』と叫んで体を悶えさせます。まさに「熱・興奮・発汗(外向き)・大声」心と体を「陽」の状態にしているわけです。
では、そんな陽の特徴があるカレーライスを夕食に食べるとどうでしょうか?これから睡眠という「陰」の状態に入る時間に、心と体を「陽」の状態にしてしまうと、心と体は「陰」の状態になりにくくなります。その結果、なかなか寝つけない、寝ても夜中に目が覚めてしまう、眠りが浅い、などの睡眠の質の低下を招く可能性が出てくるのです。
夕食のカレーライスは睡眠の質を考えるとなるべく避けたほうが良いでしょう。しかし、カレーライスが「陽」の性質がある事を逆手にとって有効的に食べる事も出来ます。カレーライスが心も体も「陽」の状態にするのであれば、例えばこれから1日のスタートとなる朝食や、午後もがんばろうと昼食に食べる事はメリットがあるかもしれません。
そういえば、昔、イチロー選手が「朝にカレーライスを食べる」という映像を観たことがありますし、ハウス食品のTVCMで田中将大選手が「めざめる体 朝カレー」と紹介していましたね。漢方的・薬膳的に考えるとこれは「良い例」と言えると思います。
カレーライスに限らず、香辛料をたくさん使った料理は夕食には不向きです。そういう意味では麻婆豆腐や台湾ラーメンなども気をつけた方が良いかもしれません。しかし、あくまで「香辛料の摂りすぎ」が問題なので、甘口などにすれば影響はない最小限に抑えられるかもしれません。ご家族の睡眠の状態、自分の睡眠の状態を考えたうえで、夕食の香辛料はなるべく控えると良いでしょう。